【ネタバレ】ノルウェー史上最も悲惨な事件を描く「7月22日」

Netflix映画「7月22日(July 22)」をご存知でしょうか?ノルウェーで実際に起きた事件を基に描かれた実話ストーリー作品となっています。北欧作品は基本的に「リアル」且つ「暗い」作品が多いのですが、ノンフィクションということもありシリアスで非常に考えさせられる作品でした。

肯定的
Netflixが取り上げることで「話題」になり、同じ過ちを繰り返さないようにできる!!より多くの人にノルウェーの現状を知ってもらいたい!

否定的
ノルウェー国内でも相当センシティブな話題のため、Netflix作品として「英語」で制作されるのはいかがなものか?ノルウェーをもっと理解している人が制作するべき!!

こんな人におすすめ

  1. 「社会問題に関心のある人」
  2. 「ノルウェーに興味がある人」
  3. 「ノンフィクション映画が好きな人」

ウトヤ島の銃乱射事件

ノルウェーの孤島にて、2011年7月22日にアンネシュ・ベーリング・ブレイビクにより引き起こされた大事件のこと。「ノルウェー連続テロ事件」とも呼ばれ、主に10代〜20代の若者77名が犠牲者となりました(最年少は14歳)。

この事件は、ノルウェー国内に留まらず単独として「世界最大の短時間大量殺人事件」であると言われている。

犯人について

アンネシュ・ベーリング・ブレイビク」は、ノルウェーの上流階級出身と言われています。父は学者・外交官としてパリやロンドンに駐在することもあるほどでした。しかし、夫婦関係は芳しくなく、彼が1歳の頃に壮絶な離婚が行われました。親権は母に委ねられ、成長と共に非行に走るようになります。

作中では自らを「テンプル騎士団である」と述べ、移民受け入れに積極的なノルウェー労働党を憎んでいます。ただ、同僚や友人からは「良い人」「頭の良い人」というポジティブな印象を受けていたようです。

事件の概要

「ノルウェー連続テロ事件」との呼称からも分かる通り、事件は2度別の場所で起こっています。

1度目は「行政機関の庁舎」において、車の中に詰め込んだ爆薬を受け8名が亡くなりました。後に、主な目的はノルウェー首相の殺害であったと述べています。しかし、不幸中の幸いとして当時のノルウェー首相「イェンス・ストルテンベルグ(現NATO事務総長)」は自宅におり、計画は失敗に終わりました

2度目は「ウトヤ島」での銃乱射事件。当時ウトヤ島では、ノルウェー労働党主催のサマーキャンプが行われていました。将来の政治を担うであろう数100名の若者エリートか集っている中での事件でした。実に69名が犠牲となりました。

映画の見どころ

  1. リアルすぎる冒頭30分の惨劇
  2. 犯人の思想と強い信念
  3. 家族にまで連鎖する事件の悲しみ

【あらすじ】ノルウェーで発生したテロ事件。この卑劣な攻撃を生き延びた若者や悲しみに暮れる家族など国全体が、心の拠り所と正義を求めて歩み続ける。実話に基づく映画。

リアルすぎる冒頭30分の惨劇

「嵐の前の静けさ」とも呼べるほど長閑な島でサマーキャンプを楽しみにする若者たち。友人や兄弟と共に参加する子らも多く、和気藹々とする若者たちが描き出されます。そんな中、怪しげに何かを準備する男(犯人)が登場します。まるで光と闇・明と暗を暗喩するかの如く対比構造となっています。

特に30分を過ぎるあたりから、無慈悲な殺戮が開始されます。映画を見ていて気になったのは、生々しく血が出るようなシーンがあまりないこと。犯人が淡々と殺人を行う様子が、逆にリアルで文字通りの鳥肌が立ちました。犯人がどこの誰であるのか、何人いるのか、状況が全く飲み込めないままひたすら島中を逃げ続ける若者たちの恐怖を想像するだけでゾッとします。

犯人の思想と強い信念

作品を見て感じた犯人の恐ろしさは「自分の正義を貫く姿勢」「綿密に練られた計画性」の2点でした。先述の通り、犯人は「多様性」「多文化主義」「移民受け入れ」に関して強く反発しています。その目的を果たすためには「手段を選ばない」ということが作品全体を通して伝わってきました。

警察を装う周到性

→ウトヤ島上陸時、犯人は警察を装っていました。それにより、発覚や政府の対応の遅れ、殺害人数の増加を引き起こしたと言われています。

2発ずつ打ち込まれる弾丸

→銃弾に関しては、殺傷能力の高いものが選ばれました。また、必ず殺害することができるように少なからず2度銃弾を打ち込んだと言われています。

法廷でのアピール

→犯人は当初「精神異常」により投獄を免れようとします。しかし、二審では一転「法廷でのアピール(労働党批判)」のため、明確な意思を持った犯行だと主張を一転させました。これにより、彼は現在も投獄されています。

家族にまで連鎖する悲しみ

事件そのものの悲しみはもちろん、事件後に「変わらぬ日常」を送れるとは限りません。むしろ、そうでないことの方が多いでしょう。主人公ビリヤルもその1人です。大量虐殺が行われたウトヤ島で幸運にも生き延びることができた彼ですが、脳内に残った弾片により「日常生活」は戻りません。また、フラッシュバック等の精神的な影響で親・弟との関係も壊れていきます。

犯人の弁護士も人生の歯車を揺るがされた1人です。事件の少ない「ノルウェー」において、あまりにも衝撃的な事件だったため、彼も批判の対象となってしまいます。

最後に一言

いかがでしたでしょうか?実はこの作品、Netflix作品とは別に「ウトヤ島、7月22日」という別作品も制作されています。こちらの驚くべき点は、映画全体が72分間ワンカットで収録しているということ(詳しくはこちら)。どちらの作品も本当にリアルで考えさせられる内容ですが、異国の現実を知れる点で名作と言えるのではないでしょうか。「ノルウェーについて理解を深めたい」「ノンフィクション作品に関心がある」という方はぜひ両方見てみて感想をお聞かせください‼︎

 

【本作の作品情報】

題名 : 7月22日 (July 22)

所要時間 : 2時間24分

公式サイト:Netflix

監督:ポール・グリーングラス

キャスト:ヨナス・ストラン・グラヴリアンデルシュ・ダニエルセン・リーヨン・オイガーデン